個人年金は所得税・住民税の対象となりますので、確定申告が必要となる場合があります。また、場合によっては贈与税の対象ともなりますので、その場合は、確定申告とは別途に贈与税も申告しなければなりません。課税のケースには、以下の2種類があります。
① 保険契約者と年金受取人が同じ場合
個人年金保険では、保険契約者(保険料を支払う人)と年金受取人が同一人である場合がもっとも一般的です。その場合の個人年金も、所得税・住民税の対象となります。
個人年金に対する所得税・住民税の課税では「必要経費」の控除が認められており、さらに、例外なく一律に38万円の「基礎控除」があります。従って、年間の個人年金額から「必要経費」と「基礎控除」を差し引いた金額が、「雑所得」として課税対象額となります。(※「必要経費」の算出方法については保険会社や税務署にお尋ねください。)
ただし、給与所得者でその他の所得が個人年金だけの人は、年間の個人年金額が控除額より少ない場合、確定申告の必要はありません。
]]>② 保険契約者と年金受取人が異なる場合
個人年金保険では、保険契約者(保険料を支払う人)と年金受取人が異なる場合もあります。夫が契約者となり、妻が受取人であるような場合です。その場合、最初に個人年金が支払われた段階で、年金受給権が契約者から受取人に贈与されたと見做され、「年金受給権の評価額」に基づく贈与税が課されます。(※「年金受給権の評価額」については保険会社や税務署にお尋ねください。)
従って、個人年金の受取りが始まった年度には、所得税・住民税の確定申告とともに、贈与税の申告も行わなければなりません。ただし、贈与税の支払いは初年度で完了しますので、2年目以降の個人年金に贈与税はかかりません。
贈与税の申告は、所得税・住民税の確定申告と同じ期間に行います。申告書の提出は税務署窓口でも受け付けますが、確定申告で混雑する時期ですから、郵送した方が良いでしょう。国税庁のe-Taxの利用については、贈与税の場合、電子納税はできますが、電子申告は出来ません。
]]>老後のために貯蓄を考えた場合、個人年金保険には優れたメリットのある保険が少なくありません。
まず、定額年金保険の有利な点は、一般に予定利率(積立利率)が固定されているため、受取年金額が契約時点で確定している点です。現在のような低金利時代に加入することは、利殖の観点から見れば面白味のない積立型保険に見えますが、大したリスクをともなわずに、希望する年金額を確実に手にすることが出来ることは、将来の資金計画を立てる上で大きなメリットとなります。また、生命保険料控除で「個人年金保険料控除」の対象となることも大きなメリットです。ただし、「個人年金保険料控除」を受けるためには、「個人年金保険料税制適格特約」を付加しておくことが必要です。ちなみに、変額年金保険は「一般の生命保険料控除」の対象です。
]]>次に、積立利率変動型年金保険の有利な点は、定期的に市場金利を反映した積立利率の更新が行われる点です。20年、30年という長い期間をかけて積み立てますから、その間に積立利率は必ず変化します。低金利の現在から積立を開始すれば、やがて金利が上昇して高い利回りとなる可能性が十分にあります。また、仮に積立利率が下がったとしても、契約時に確定する最低保証利率を下回ることはありませんので安心です。「個人年金保険料控除」の対象となることも、一般の定額年金保険と同様に大きなメリットです。
このように、個人年金保険の中でも安定した貯蓄性をもつ定額年金保険(積立利率変動型年金保険を含む)は、公的年金の欠を補うことの出来る保険として税制上の優遇措置を受ける個人年金保険であり、その点を加味すれば、十分にお得な保険と評価することが出来ます。
]]>いわゆる現役世代の人たちが60歳代、70歳代となったとき、果たしてどれくらいの生活費が必要かということは、将来の日本の社会・経済状況を正確に予測できない限り、判断するのは難しいことです。しかし、世間の多くの人たちが老後の生活費についてどのような見方をしているのかを知ることは、自分の将来設計を考える上での参考になります。
財団法人生命保険文化センターは、毎年、「生活保障に関する調査」を実施し、その結果を公表しています。最新の平成22年度(2010年)の調査は、有効回答者数が4,076人という相当に信頼性の高い調査です。それによると、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考える毎月の“最低日常生活費”は、平均223,000円という結果になりました。回答分布を見ても、20万円以上〜25万円未満が全体の31.9%を占めています。
]]>また、同調査では、ゆとりある老後生活を送るための費用として、“最低日常生活費”以外にいくらお金が必要と考えるかという質問があり、その回答金額の平均値は143,000円でした。“最低日常生活費”の平均値と合計すると、夫婦2人のゆとりある老後生活に必要と考える毎月の生活費は、366,000円ということになります。ちなみに、“最低日常生活費”に上乗せしたい金額の使い道は、「旅行やレジャー」・「趣味や教養」・「身内とのつきあい」・「日常生活費の充実」が大半を占めています。
厚生労働省の「平成20年国民生活基礎調査」(2008年)によると、65歳以上の人だけで構成される高齢者世帯の平均月収は約249,000円でした。この金額は、“最低日常生活費”の平均値を上回っています。少なくとも現在のところは“最低日常生活費”を確保できているようですが、しかし、それはけっして経済的に余裕ある暮らしとは言えません。まして、ゆとりある老後生活にはほど遠い現状です。今後、公的年金の状況が飛躍的に改善するとは考えにくいですから、現役世代の人たちとしては、個人年金保険の活用を一層真剣に考えるべきかもしれません。
]]>国民年金は、「国民年金法」に基づいて国が運用している公的年金です。すべての国民が老齢・障害や扶養者の死亡によって生活の安定を損なわれることのないよう、すべての国民の共同連帯によって相互扶助するという理念のもと、国内で住民登録をしているすべての国民に加入の義務が定められています。
国民年金の加入義務があるということは、保険料支払いの義務もあるということです。20歳以上、60歳未満の国内在住日本人は、原則として必ずその保険料を支払わなければなりません。民間企業などに勤務する勤労者は通常「厚生年金」に加入し、公務員や私立学校教職員などは「共済年金」に加入していますが、それらの保険料の中にも国民年金の保険料分が含まれています。
ちなみに、国民年金保険料の払込額に基づいて支給される年金が「基礎年金」です。自営業者や専業農家の人などは、公的年金として「基礎年金」だけを受け取ることになり、サラリーマンや公務員の場合は、「基礎年金」に「厚生年金」や「共済年金」の支給分を上乗せした額を受け取ることになります。
]]>一方、個人年金保険は、保険会社や銀行などが販売する民間年金保険です。商品選択の自由も、支払保険料の額を設定する自由もあります。その点で、現在では公的年金よりも遥かに頼りになる年金という観があります。国民年金制度への信頼が揺らぎ、「基礎年金」への期待を喪失した現役世代にとっては、民間の定額個人年金などはとても確実性が高く、将来の生活資金設計をしやすい保険だと言えるでしょう。本来、個人年金保険は公的年金の不足を補うための保険と見做されてきましたが、これからは、個人年金保険を基軸に老後の生活設計を考える時代になりそうです。
]]>変額個人年金(変額年金保険)は「投資型年金保険」とも呼ばれ、払込保険料を複数のファンドに投資し、その運用実績に応じて年金が支払われる個人年金保険です。低金利時代の現在では、定額年金保険の利率も低く抑えられているため、高利回りの資産運用が可能な個人年金保険として注目されています。
ただし、定額年金保険の場合、早ければ20歳代で、遅くとも40歳代で加入することを前提として、保険料を月払いあるいは年払いの分割払いにして負担を軽減できるのに対し、変額年金保険は原則として一時払いです。当然、一度に高額の保険料負担を負わなければならないのですが、これは、変額年金保険が定年退職者を主要な被保険者として想定し、退職金による保険料支払いを前提として設計されたものだからです。
]]>変額個人年金(変額年金保険)の典型的な活用例としては、60歳定年後に加入し、3年から5年の据置き(投資運用)で高利回りの運用成果を挙げた後、65歳よりゆとりの年金生活を実現、というお得な年金プランが描けます。ただし、それは据置き期間の保険の運用が順調にいった場合です。当然のことながら、投資対象のファンドには価格変動リスクや為替リスクが付き物です。
変額個人年金(変額年金保険)は、据置き期間(運用期間)の間に加入者が死亡した場合、払込保険料相当の死亡保険金が最低保証され、利回り分が上乗せされることもあり得ますが、運用で損失を出した場合は、そのまま受取年金額が減少します。また、中途解約した場合も、解約返戻金はほとんど元本割れとなります。変額年金保険は、どのファンドに分散投資すべきか、十分に研究してから加入すべきです。
]]>個人年金保険の保険料の“相場”と言った場合、世間の多くの人が大体どれくらいの保険料を支払っているのかという意味だと思われますが、残念ながら、数ある保険関係の資料の中に、そのようなデータは見当たりません。そもそも、個人年金保険に加入している人の職業や年収・生活水準などにより、支払保険料の傾向はそれぞれに異なると思われますので、世間一般の“相場”なるもの自体、存在するのかどうか疑問です。
ただ、個人年金保険の保険料の傾向を推測させる資料はあります。それは、1997年(平成9年)に発表された生命保険文化センターのレポート「公的保障と自助努力に関する意識調査」です。それによると、老後の生活保障のために実行していることはという問いに対し、最も多かった回答(複数回答)が「預貯金」で57.7%、次に多かったものが「生命保険や個人年金保険」で52.3%でした。当時はバブル経済期の“財テク”ブームの余韻が冷めやらぬ頃でしたが、計画的な預貯金と生命保険・個人年金保険による積立が、他の財テク手段を上回り圧倒的な多数派でした。そして、さらに同調査では、月々の積立額の平均が、20歳代で22,000円、30歳代で28,000円、40歳代で43,000円という結果になりました。
]]>また、同センター「平成19年度 生活保障に関する調査」(2007年)によると、生命保険と個人年金保険の加入者の年間平均保険料は、男性の場合、1998年頃をピークに減少して2007年には286,000円(月々約23,800円)、女性の場合は、2001年頃をピークにやはり減少して2007年には196,000円(月々約16,300円)でした。
これらの調査結果からは個人年金保険の保険料の平均額を知ることは出来ませんが、生命保険との平均的な合計額を推測することは出来ます。ただし、近年、保険離れが進んでいることも見て取れますが、2009年以降、年金問題が大きくクローズアップされたため、現在では個人年金保険の加入者数と保険料額が増加している可能性もあります。
]]>個人年金保険は、投資型の「変額年金保険」よりも、契約時に受取年金額が確定している「定額年金保険」の方が安心して加入できるため、人気があるようです。ただし、「定額年金保険」は、加入時の市場金利が高い値で推移している場合には、受取年金額の比較的高い有利な契約を結ぶことができますが、市場金利が低い時期に加入した場合は、受取年金額が少な目の不利な契約を結ぶことになってしまいます。現在のような低金利時代にあっては、将来、市場金利が上昇する可能性を考慮して、通常の「定額年金保険」だけでなく、「積立利率変動型年金保険」も比較検討してみるべきでしょう。
「積立利率変動型年金保険」は、定期的に市場金利を反映して積立利率を更新する変動金利タイプです。ただし、市場金利が低下しても、通常は加入時に最低保証利率が設定されているため、受取年金額が少なくなることはありません。一方、市場金利が上昇したときには、加入当初の見積りよりも高額の年金を受け取れる可能性があります。
]]>個人年金保険には、年金の受け取り方法によって、「有期年金」・「確定年金」・「終身年金」・「夫婦年金」の4種類があります。これらはすべて、基本的に年金の受け取りを目的とした積立型の保険であり、「有期年金」・「終身年金」・「夫婦年金」の3タイプは、いずれも年金受取人である被保険者の死亡とともに年金の支払いが止まります。しかし、「確定年金」は、年金受取期間中に被保険者が死亡した場合、遺族がその契約を遺産として相続し、残りの期間の年金を受け取るか、一時金の支払いを受けることが出来ます。しかも、相続時に生命保険の非課税枠の適用を受けることができるので有利です。
このように相続できる個人年金保険としては、「確定年金」のほかに、“保証期間付”の「有期年金」と「終身年金」があります。「保証期間付有期年金」・「保証期間付終身年金」は、保証期間内に被保険者が死亡した場合、遺族がその契約を相続することが出来ます。相続時の生命保険の非課税枠についても同様です。家族への遺産とすることも保険選びのポイントとして考えるのであれば、これら相続可能な個人年金保険も比較検討の価値ありです。
]]>個人年金保険の基本的な仕組みは、払込保険料を保険会社や金融機関が投資運用し、運用成果によって年金が支払われるというものです。そして、その運用方法によって、「定額年金保険」と「変額年金保険」の2種類に分けられます。
「定額年金保険」の方に加入者が多く、保険料払込期間を通して積立利率が一定している固定金利タイプで、契約時に受取年金額が確定します。ただし、中には「積立利率変動型年金保険」と呼ばれるものもあり、一定期間ごとに市場金利を反映して積立利率が更新される変動金利タイプです。契約期間中に積立利率が上昇すれば受取年金額も増えますが、その逆もあり得ます。もっとも、一般的に契約時の最低保証利率が設定されているため、これも「定額年金保険」の一種とされています。
「変額年金保険」は「投資型年金保険」とも呼ばれ、通常、契約者が複数のファンドの中から自由に投資対象を選び、その運用成果によって年金額が決定します。より高い利益を期待できる反面、リスクも伴いますので、投資についての知識が必要です。
]]>個人年金保険は、また、年金の受け取り方によって、「有期年金」・「確定年金」・「終身年金」・「夫婦年金」の4種類に大別できます。
「有期年金」は、5年から20年などの支払期間内で、生存中に限り年金が支払われます。「確定年金」も同様に支払期間が設定されていますが、期間内に死亡した場合、残りの期間は遺族に支払われます。
「終身年金」は一生涯年金が支払われるタイプです。「夫婦年金」は、夫婦で加入し、どちらか一方が生存している限り年金が支払われます。
一般に、会社員の場合は、定年後、公的年金が支給されるまでの生活保障として、「有期年金」や「確定年金」を選ぶケースが多いようです。また、自営業の場合は、国民年金への上乗せとして「終身年金」や「夫婦年金」に加入する場合が多いようです。
]]>個人年金が必要とされている実態は、次のような調査結果から見て取ることができます。
生命保険文化センターが実施した意識調査「生活保障に関する調査」(平成22年・有効回答数4,076)によると、夫婦2人の老後生活に必要と考える月々の“最低日常生活費”は、平均223,000円という結果になりました。また、ゆとりある老後を送るために“最低日常生活費”以外に必要と考える金額については、平均143,000円という結果でした。従って、この金額を“最低日常生活費”に上乗せした夫婦2人の“ゆとりある老後生活費”は、平均366,000円ということになります。これは、現在の日本人が希望する老後生活費の平均値です。
※なお、“最低日常生活費”に上乗せしたい金額の使い道としては、「旅行やレジャー」・「趣味や教養」・「身内とのつきあい」がベスト3で、第4位に「日常生活費の充実」が入り、その他、「耐久消費財の買い替え」・「子供や孫への資金援助」・「隣人や友人とのつきあい」などが挙げられています。
]]>ところが、厚生労働省の「平成20年国民生活基礎調査」によると、現在の高齢者の生活実態を示すデータとして、高齢者世帯の1世帯当たり平均年収が2,989,000円という結果になりました。ここで高齢者世帯と呼んでいるのは、65歳以上の人だけで構成される世帯(18歳未満の未婚者が同居している場合も含む)のことです。この結果を月収に換算すると、1世帯当たり平均月収は約249,000円ということになります。前記の“最低日常生活費”223,000円は何とか上回っていますが、“ゆとりある老後生活費”366,000円と比べて117,000円も少なくなっています。ふたつの調査は方法や基準が異なりますが、現実の高齢者世帯の多くが“ゆとりある老後生活”からほど遠い実態であることは容易に見て取ることが出来ます。
民間の個人年金保険は、公的年金の不足を補う役目を担っています。長年にわたって保険料を払い続けながら十分に報われない公的年金は、今後、少子高齢化の進行とともにますます頼りにならなくなりそうです。損をしない個人年金を選ぶことは、将来のために大切なことと言えます。
]]>個人年金保険は、退職後や老後の生活資金の準備を目的とした民間の保険のことです。公的年金(国民年金・厚生年金など)の不足分を補うために、近年、急速に普及しました。
本来は、公的年金の収入だけで退職後も生活レベルを下げずに生活できることが理想でしたが、少子高齢化の進行とともに年金世代は増加すれどもそれを支える現役世代は減少の一途をたどり、公的年金の収支バランスが悪化して、年金支給額が十分とは言えない状況となってしまいました。そのため、老後の生活保障を万全にするための自助努力として、個人年金保険への加入が真剣に考えられるようになりました。
]]>個人年金保険には、以前から保険会社が販売していたもののほかに、全農(全国農業協同組合連合会)や漁協の関連団体による共済がありましたが、近年の金融規制緩和によって、現在では銀行なども販売するようになりました。その保険の形には、「定額年金保険」と「変額年金保険」の2種類があります。
「定額年金保険」は、契約時に受取年金額が確定している保険です。また、満期時保険金一括払いが原則の終身保険や養老保険なども、満期時や支払い期間終了後に保険金の定額年金払いへの切り替えが可能ですので、事実上、「定額年金保険」として活用することが出来ます。
「変額年金保険」は、払込保険料の運用成果に応じて受取年金額や解約返戻金の額が変化する保険です。「定額年金保険」の場合も、払込保険料をファンドに投資して運用しますが、その運用実績に関わらず、契約した受取年金額が保障されています。一方、「変額年金保険」では、運用実績が好調で高額の年金を受け取れる可能性がある反面、現在のように金融市場の動きが激しい状況では、損失を出して期待した額の年金を手に出来ないというリスクも伴います。
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